とにかく書く

日々の雑感や知り得たことを、とにかく書いています

error "The directory `~/.emacs.d/server' is unsafe"

ノートPC(Windows 7 Professional)のCドライブの容量が5GBと少なくなってきたので、cygwinemacsをDドライブに移すことにした。移動させて、関連する環境変数をC→Dへ変更したのだが、emacsを起動すると、

error "The directory `~/.emacs.d/server' is unsafe"

と表示されて、設定ファイル(.emacs.elなど)が読み込まれなかった。


windows - Emacs - Error when calling (server-start) - Stack Overflowによると、~/.emacs.d/server の所有者が Administrator だからの様子。以下の手順で所有者を自分のアカウントに変更すれば問題なくなった。

  1. ~/.emacs.d/server を右クリックしてプロパティを選択する
  2. [serverのセキュリティ]ウィンドウの[セキュリティ]タブにある[詳細設定]ボタンを押す
  3. [serverのセキュリティの詳細設定]ウィンドウの[所有者]タブの[編集]ボタンを押す
  4. [所有者の変更]欄から自分のアカウントを選択して、[適用]ボタンを押す
  5. 開いてきたウィンドウを[OK]ボタンを押していって閉じる

Calc でグラフを削除する

Calc でグラフを作成したあと削除できずにハマったのでメモ。

グラフを作成した直後は、元データと結合した状態になっている(元データのセルの罫線が青くなる。)いったん任意のセルをクリックして結合を解除すれば、グラフをクリック→Deleteキーで削除できる。なお、グラフを動かしても結合は解除されない。

ゼロからトースターを作ってみた


Thomas Thwaites(村井理子 訳)の「ゼロからトースターを作ってみた作ってみた」を読んだ。著者がイギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アート大学院での卒業作品としてトースターを作る話…鉄鉱石を採掘するところから。材料の調達に山に登ったり、プラスチックの木型をミノで削ったり、電子レンジで鉄を精製したり…。

大学生がバカやってるって感じで文章は進んでいるけど、トースターを制作する過程で考えた「経済発展にある歪み」をアダム・スミスカール・マルクスを引用して、まじめに問題提起している。そして、我々が弱いところを持つことも素直に認めている。いずれにせよ、まずはみんなトースターを作って文明のすごさを知り、経済発展を考えるとこから始めようぜって感じ。
筆者は TED でも、このプロジェクトについて語っている。

お世話になった方々をキッチリ紹介しているし、撥ねつけられた企業の嫌な面をキッチリ載せてるし、冗談めかした文章のなかに色々と見るところがあって、良い映画を見ているようだった。とても楽しめた。

「経済発展にある歪み」を解決することはできないのでは、と思う。人類が種を保存すべく行動するために欲望をもっていて、かつ欲望に際限がない一方、富は相対的なものである(我々は数百年前の皇帝より、はるかに裕福な暮らしをしているのに「貧乏だ」と感じる)から。どんなに発展しても貧富の差が発生し、富を望むためにメチャクチャなことが行われる。

これを解消するには、個人が属する地域の集団(国とか)でメチャクチャなことをしないように管理するしか無さそう。とはいえ全体主義はやり過ぎで、そのバランスを上手く取らないといけない。じゃあバランスはどうやって?難しいけど、民主主義ではある程度の中庸を実現するんじゃないかなぁ。ただ、教育は必要。

せめて個人レベルでは、大量消費社会の教訓を活かした生活を営むよう心がけよう。

炭素文明論


佐藤健太郎の「炭素文明論」を読んだ。炭素化合物と世界史との関係を幅広く紹介した本。
いや、こんな表現ではとても収まらない。

そもそも人間が生きるということは、形だけで言えば有機化合物を食べて、体内で別の有機化合物を化学変化させている。その前後で発生するエネルギーによって行動し、縦と横に広がって歴史ができているわけで、結局はすべて有機化合物なのだ!

有機化合物は Wikipedia からの引用によれば

有機化合物(ゆうきかごうぶつ、英: organic compound(s))は、炭素を含む化合物の大部分をさす。

であって、炭素と人類との関係は切っても切れないものなんだと思う。むしろ炭素の手のひらで踊っているだけなのかも。

佐藤健太郎氏は製薬メーカを経て、サイエンスライターをされている。有機化学美術館は、素人の私でもとても楽しく読める。それだけ文章もおもしろい。どこだったか、面白い文章にするために雑学を盛り込んでいる、とかいうことを仰っていた。

あとがきに

こうした本を書いたのは、ひとつには化学に対する関心の低さを、少しでも改善したいという思いがあったため

ということだそうだが、高校で化学を勉強する前にぜひ知っておきたい内容だった。

おおよそ勉強は目的があって行われるわけで、高校まででは崇高な目的の基礎固めにすぎない。でも、目的を知れば自然と興味が湧くところもあるとおもう。「XXX なんて将来使わないし役に立たないのに、なんで勉強しなきゃいけないんですかぁ?」とか、しっかり答えなければならないと思う。
XXX=化学の場合に、本書は本当に有用。なによりおもしろい。

ハーバーボッシュ法とかアンモニアの合成法として学んだ時、オシッコを合成させて何がおもろいねん、と心の中で思っていた。それが人類にとって切迫した事態を打開するイノベーションだったなんて!

歴史に関しては、「そうなのかな?」と思うところもある。けど、そうした本筋とはやや離れた疑問を差し引いても十二分に読んで化学に興味を持つ価値はある。

聊斎志異(岩波文庫 立間祥介 編訳)

聊斎志異を読んだ。1年以上前の話だけれど。 聊斎志異は、蒲松齢が1680年・40歳頃に完成させたとされる短編小説集。今回読んだのは岩波文庫から出ている立間祥介が編訳した上下巻。

もともと芥川龍之介の王朝ものや中島敦が子供の頃から好きだった私としては、いずれの小品も楽しくてしょうがない。そしてちょっと大人な、ぶっちゃければ性的な描写が男心をくすぐる。

中国人は、日本人の「物にも神が宿る」考え方と比べると「物は物」という意識が現代でも強いと感じる。むしろ現代のほうが高度経済成長による大量消費社会のもとでは強い。有り体にいえば乱暴に扱う。 でも、 聊斎志異のなかでも、ずいぶんと乱暴な描写は多い。そもそも文化が違うんだろうな。先のヤオロズの神に表れるように。

もともと読み始めたのは、中国映画の画皮(邦題:画皮 あやかしの恋)や2011年版の倩女幽魂(邦題:Chinese Ghost Story)を見て、すっかりはまってしまったから。とくに画皮は、何度も見なおした*1

今回読んだ岩波文庫版は、下巻解説によると全500篇前後の中から92篇を上下巻として翻訳したもの。1997年刊行。もともと全訳の平凡社版をベースに、もう一つの全訳版として作られようとしたらしい。

立間祥介氏は本屋でよく見かけて、著作がとても多い印象がある。翻訳も流石で、すっと情景が心に浮かんで、聊斎志異の世界を覗きこんでいるよう。

なお、ベースにしようとした平凡社版は1999年から2000年にかけて平凡社ライブラリーとして再販されている。聊斎志異の全訳はこの平凡社版だけみたい。

*1:ただし続編の画皮2は、監督も違うしストーリもひどい。画壁は、監督が同じだし画皮とは別の愛情を表現していておもしろい。主役の2人は実世界でも夫婦になったし。

隠蔽捜査シリーズ

今野敏の「隠蔽捜査」シリーズを読んだ。第一作から第五作まで。第三作以降は図書館で借りた。

警察庁長官官房総務課課長である竜崎伸也が、職場と家庭とで起こる事件に対して自身の持つ原則に従って行動するストーリ。竜崎伸也の筋の通った行動とスッキリとした結末とが、読後、心のなかに清涼感を呼び起こす。

この小説の内容がどれほど現実に則しているかは、よくわからない。いや、小説なので虚構には違いないし、そもそも真実かどうかを詮索することが意味のないことだ。

主人公の竜崎は、第一巻では原理原則に従って動くコンピュータのように描かれる。しかし、巻を進めるにつれて丸くなるというか、人間味を増してくる。腐れ縁の伊丹とのやり取りも、いがみ合っているようで結局は仲が良い二人が板についてくる。

個人的には、どの巻も大変おもしろい。このおもしろさは他とは違ったところにあると思う。とくに、主人公がスーパーマン的に描かれているけど、水戸黄門とは違って劇中で最高位にいるわけではなく、人間関係を意識するところがサラリーマンのツボに入る。

現実は、人それぞれ異なる原理原則があり、それぞれが「正しい」ことが多い。だから実際はこんな上手くいかない。でも、一本筋を通し尽くすことができない私としては、主人公への憧憬につながる。やみつき。