とにかく書く

日々の雑感や知り得たことを、とにかく書いています

隠蔽捜査シリーズ

今野敏の「隠蔽捜査」シリーズを読んだ。第一作から第五作まで。第三作以降は図書館で借りた。

警察庁長官官房総務課課長である竜崎伸也が、職場と家庭とで起こる事件に対して自身の持つ原則に従って行動するストーリ。竜崎伸也の筋の通った行動とスッキリとした結末とが、読後、心のなかに清涼感を呼び起こす。

この小説の内容がどれほど現実に則しているかは、よくわからない。いや、小説なので虚構には違いないし、そもそも真実かどうかを詮索することが意味のないことだ。

主人公の竜崎は、第一巻では原理原則に従って動くコンピュータのように描かれる。しかし、巻を進めるにつれて丸くなるというか、人間味を増してくる。腐れ縁の伊丹とのやり取りも、いがみ合っているようで結局は仲が良い二人が板についてくる。

個人的には、どの巻も大変おもしろい。このおもしろさは他とは違ったところにあると思う。とくに、主人公がスーパーマン的に描かれているけど、水戸黄門とは違って劇中で最高位にいるわけではなく、人間関係を意識するところがサラリーマンのツボに入る。

現実は、人それぞれ異なる原理原則があり、それぞれが「正しい」ことが多い。だから実際はこんな上手くいかない。でも、一本筋を通し尽くすことができない私としては、主人公への憧憬につながる。やみつき。