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ゼロからトースターを作ってみた


Thomas Thwaites(村井理子 訳)の「ゼロからトースターを作ってみた作ってみた」を読んだ。著者がイギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アート大学院での卒業作品としてトースターを作る話…鉄鉱石を採掘するところから。材料の調達に山に登ったり、プラスチックの木型をミノで削ったり、電子レンジで鉄を精製したり…。

大学生がバカやってるって感じで文章は進んでいるけど、トースターを制作する過程で考えた「経済発展にある歪み」をアダム・スミスカール・マルクスを引用して、まじめに問題提起している。そして、我々が弱いところを持つことも素直に認めている。いずれにせよ、まずはみんなトースターを作って文明のすごさを知り、経済発展を考えるとこから始めようぜって感じ。
筆者は TED でも、このプロジェクトについて語っている。

お世話になった方々をキッチリ紹介しているし、撥ねつけられた企業の嫌な面をキッチリ載せてるし、冗談めかした文章のなかに色々と見るところがあって、良い映画を見ているようだった。とても楽しめた。

「経済発展にある歪み」を解決することはできないのでは、と思う。人類が種を保存すべく行動するために欲望をもっていて、かつ欲望に際限がない一方、富は相対的なものである(我々は数百年前の皇帝より、はるかに裕福な暮らしをしているのに「貧乏だ」と感じる)から。どんなに発展しても貧富の差が発生し、富を望むためにメチャクチャなことが行われる。

これを解消するには、個人が属する地域の集団(国とか)でメチャクチャなことをしないように管理するしか無さそう。とはいえ全体主義はやり過ぎで、そのバランスを上手く取らないといけない。じゃあバランスはどうやって?難しいけど、民主主義ではある程度の中庸を実現するんじゃないかなぁ。ただ、教育は必要。

せめて個人レベルでは、大量消費社会の教訓を活かした生活を営むよう心がけよう。