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私が殺した少女

原尞の「私が殺した少女」を読んだ。私立探偵・沢崎シリーズの2作目。1989年の第102回直木賞およびファルコン賞を受賞した一作。ハードボイルドな描写と次々に進む展開に惹き込まれ、一気に読んでしまった。

本書は、私立探偵の沢崎が依頼人の自宅へ赴く所から始まる。ただ依頼を受けに行っただけなのに、そこから意外な展開が待ち受けている。事件に巻き込まれ大勢の警察官とは別に、単独で犯人を追っていく。わずかな手がかりから事件の真相へと近づいていく。そして最後に待ち受けるドンデン返し。

ハードボイルドな主人公だけれど、ただのキザではなくて、なんだか近い存在に思える。その辺りから事件があたかも自分に起きているように感じて、ページをめくる手が止まらなくなったよう。

初版は1989年とのことで、携帯電話もなく公衆電話ですらテレフォンカードが普及しだした時代。電話がよく出てくるだけに、現在とのギャップにいささかノスタルジック感は否めない。だけど技術の進歩と裏腹に人間は変わらないだけに、ハードボイルドなカッコ良さは十分楽しめた。