とにかく書く

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ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ダニエル・ピンク著、大前研一訳の「ハイ・コンセプト」を読んだ。 大量生産の時代によって一部地域では物質的に豊かになった。鉄道や飛行機によって地球が音速レベルで小さくなった。その後、情報の時代になってネットワークが発達し、情報は一瞬で地球の裏側まで届けられる。地球はもはや光速レベルで小さくなった。その結果として迎えつつある(2013年現在、すでに迎えてしまった)コンセプトの時代に向けて必要なもの=感性とその磨き方を説いた本。

そもそもコンセプトの時代が来たのは、情報が一瞬で届くことで物理的な時間の制約を打ち破ったため。例えば、ネットワークがなかったら、インドのソフトウェア会社にプログラムを郵送で依頼し、できたプログラムも郵送で送り返される。郵送には時間も費用もかかり、ミスがあったらまた郵送。コミュニケーションなんてできたものではない。仕事にならない。これまでは、この制約こそが、彼らから人件費の高い我々を保護していた。そこに、情報がほぼ一瞬で伝達されるようになり、距離の制約がなくなり、物価が安く人件費が安く抑えられる地域へ仕事がとられてしまった。また、これにより多くのプログラムが生み出せるようになった。単調な仕事は、いつまでも働いて文句の言わないプログラムにとられてしまった。コンセプトの時代の到来。

このコンセプトの時代においては、もはや論理的思考力、つまり左脳主導だけでは人件費=コストのために太刀打ちできない。そこで彼らにはできないこと、つまり論理的思考を持ちつつ、まったく新しいことを創造する力もあわせ持つことで自分たちの価値を高めなきゃいけない。創造する力を養うために6つのセンスをあげている。

正直いって僕は創造力がないと強く思う。こうして本を読んで感想を書くだけでも、自分の意見を出すことが実に難しいと感じる。読書感想文が苦手な類。だけど、6つのセンスにはデザインや物語といった個人の創造性だけでなく、全体の調和とか共感とかも含まれている。1+1=3以上になり得るのだ。

2200年前に劉邦が中国統一を果たしたとき、韓信劉邦軍の大将軍として中国全体の2/3を制圧した。統一後、韓信の力を恐れた劉邦韓信を捕えて牢屋にいれたんだけど、そのときに韓信から「劉邦は10万人を率いれるが、私は多ければ多いだけ率いれる。だけど劉邦は将軍を束ねることができて、これは余人にできることではない。」と言ったらしい。コンセプトの時代には、劉邦の能力こそが必要なんだろう。

6つの感性は一朝一夕にできるものではない。毎日の積み重ねが大事。こうしてブログを書くことも、読み手の立場や物語性の育成につながるかな。30日間チャレンジとして毎日短い物語を書くのもいい。始めるなら今かな。