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自滅する企業

ジャグディシュ・N・シースの「自滅する企業」を読んだ。

かつては高い利益を誇り、完全無欠に思えたエクセレント・カンパニーが年を経ると大幅な赤字に陥るケースがある。本書では、その原因は外的要因ではなく企業自身の内部に悪習慣がはびこるからとし、悪習慣7つとその対処法を記した一冊。実際の企業を豊富な事例として挙げている。

本書では企業を人間、各習慣を病気になぞらえて話を進めている。習慣は目次の通り以下の7つ。

  1. 現実否認症
  2. 傲慢症
  3. 慢心症
  4. コア・コンピタンス依存症
  5. 競合近視眼症
  6. 拡大強迫観念症
  7. テリトリー欲求症

それぞれの習慣は、日頃は意識しないものだけれど、ふとしたキッカケで企業を一気に転落へと導く。たとえば政府の庇護下にあったAT&Tや航空会社が慢心症に蝕まれていて、民間との競争にさらされたとたんに対応できなくなるとか。こうしたキッカケの前に企業自らが悪習慣に対処しておく必要がある。

本書全体でおもに各習慣の症状に焦点を当てている。各習慣に対して章末に処方箋が記載されているが、ページ数が少なく、これだけではどうしようもない。とはいえ人間と同様、企業も1社ごとにまったく異なるため、企業ごとにいかに治すかを考えていかなければならないと思う。そしてそれこそが管理職が自分で考えなければならない仕事。その意味で、処方箋は指針以上にはならない。むしろ「どうすべきか」を期待して読むよりも、自分の属する企業が「どうであるか」を知るための健康診断に最適の本。

本書には実に多くの実際の企業が症例として出てくるが、それぞれも伝記のようでおもしろい。文章も軽妙で、比喩がじつに巧み。純粋な読み物としても引き込まれてしまった。